「天におられるわたしたちの父よ」 マタイによる福音書6章9〜15節

9 だから、こう祈りなさい。『天におられるわたしたちの父よ、御名が崇められますように。
10 御国が来ますように。御心が行われますように、天におけるように地の上にも。
11 わたしたちに必要な糧を今日与えてください。
12 わたしたちの負い目を赦して下さい、わたしたちも自分に負い目のある人を 赦しましたように。
13 わたしたちを誘惑に遭わせず、悪い者から救って下さい。
14 もし人の過ちを赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがなの過ちをお許しになる。
15 しかし、もし人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたがたの過ちをお許しにならない。』


※ ボンヘッファーの獄中の詩
ティートリッヒ・ボンヘッファー(1945:4/9 死、ヒットラー暗殺計画の首謀者の疑いで処刑)が1944年の大晦日に、家族に宛てた詩「良き力にまもられて」より

「主のよき力に、確かに、静かに、取り囲まれ、
不思議にも守られ、慰められて
私はここでの日々を君たちと共に生き、
君たちと共に新年を迎えようとしています。

過ぎ去ろうとしている時は、私の心をなおも悩まし、
悪夢のような日々の重荷は、わたしたちをなおも圧し続けています。
ああ主よ、どうかこのおびえおののく魂に、
あなたが備えている救いを与えて下さい。

あなたが、もし、私たちに、苦い杯を、苦渋にあふてる杯を、
なみなみとついで、差し出しなら、
私たちはそれを恐れず、感謝して、
いつくしみと愛に満ちたあなたの手から受けましょう。

しかし、もし、あなたが、私たちにもう一度喜びを、
この世と、まぶしいばかりに輝く太陽に対する喜びを与えてくださるなら、
私たちは過ぎ去った日々のことをすべて思い起こしましょう。
私たちのこの世の生のすべては、あなたのものです。

あなたがこの闇の中にもたらしたロウソクを、
どうか今こそ温かく、静かに燃やしてください。
そしてできなら、引き裂かれた私たちをもう一度結び合わせてください。
あなたの光が夜の闇の中でこそ輝くことを、私たちは知っています。

深い静けさが私たちを包んでいる今、この時に、
私たちに聞かせてください。
私たちのまわりに広がる、目に見えない世界のあふれるばかりの音の響きを、
あなたのすべての子どもたちが高らかにうたう讃美の歌声を。

主のよき力に、不思議にも守られて、
私たちは来るべきものを安らかに待ち受けます。
神は、朝に、夕に私たちと共にいるでしょう。
そして、私たちが迎える新しい日々にも、神は必ず、私たちと共にいるでしょう」。