「ステファノの命をかけた答弁」 使徒言行録7章

 ここに出て来るステファノの話は旧約聖書の歴史である。創世記、出エジプト記を開いて対照していけば一番いい。しかし、時間がかかるので今日の箇所を読みながら、簡単に説明を加えていく。旧約聖書の該当箇所の味読というのは各自の興味度合いに応じてして下さい。
 何のためねいステファノはこんな長い話を命がけでしたのか。
 ☆ステファノがこの答弁でうったえたかったことの要約。
 旧約聖書において、神が預言者を通して預言してきたメシアこそナザレのイエスである。あなた方の先祖は、イスラエルを救おうとして神が立てたヨセフをねたみ、律法を受けたモーセに反抗して神の御心にそむいた。あなた方も先祖と同じように、神がメシアとして立てたナザレのイエスをねたみ、ついには十字架につけて殺した。この方こそ律法を完成される方、神が共におられる方である。あなたがたがこそ律法を軽んじ、聖なる神殿を破壊する者だ。人の手で造られた神殿などには神は住まわれない。

 @7:1〜3 カルデアのウル(メソポタミア)にて
07:01大祭司が、「訴えのとおりか」と尋ねた。 07:02そこで、ステファノは言った。「兄弟であり父である皆さん、聞いてください。わたしたちの父アブラハムがメソポタミアにいて、まだハランに住んでいなかったとき、栄光の神が現れ、 07:03『あなたの土地と親族を離れ、わたしが示す土地に行け』と言われました。
 非常に丁寧な呼びかけから始め、まずイスラエルの父祖アブラハムの召命、神の召しいについて語り始めた。議会の議員たちも息を潜めて、何を話し出すのかと耳をそばだてて聞いた。命がけの答弁なのに大変冷静に語っている。
 アブラハムの時代は神殿も律法もなかったが、神はメソポタミア(カルデアのウル)でアブラハムは現れた。アブラハム「私が示す地に行け」という神の召しに、全面的に神を信頼して、ただ信仰を持って出て行った。

 A7:4〜8 ハランからカナン(パレスチナ)へ、
07:04それで、アブラハムはカルデア人の土地を出て、ハランに住みました。神はアブラハムを、彼の父が死んだ後、ハランから今あなたがたの住んでいる土地にお移しになりましたが、 07:05そこでは財産を何もお与えになりませんでした、一歩の幅の土地さえも。しかし、そのとき、まだ子供のいなかったアブラハムに対して、『いつかその土地を所有地として与え、死後には子孫たちに相続させる』と約束なさったのです。 07:06神はこう言われました。『彼の子孫は、外国に移住し、四百年の間、奴隷にされて虐げられる。』 07:07更に、神は言われました。『彼らを奴隷にする国民は、わたしが裁く。その後、彼らはその国から脱出し、この場所でわたしを礼拝する。』 07:08そして、神はアブラハムと割礼による契約を結ばれました。こうして、アブラハムはイサクをもうけて八日目に割礼を施し、イサクはヤコブを、ヤコブは十二人の族長をもうけて、それぞれ割礼を施したのです。
 ここでもアブラハムは神の約束の言葉を信じた。その約束のしるしとして、神はアブラハムと割礼による契約を結ばれた。この割礼をユダヤ人は選民のしるしとした。ただ、割礼は信じたことへの外側のしるしであって、それがあれば神の民であるとか、なければ神の民ではない、とか言うものではない。神の民であると本当のしるしは心の内側の神への信仰である
※割礼とバプテスマ。どちらも信仰が先行する。
バプテスマとは、イエスを救い主として信じて受ける者すべてに聖霊が降り、天より「あなたは私の愛する子である」という神の契約のしるしである。これは神の恵みであり、神の民としての自覚を与えられるものである。大切なことはイエスを信じる信仰である。

 B7:9〜16 カナンからエジプトへ 神はヨセフを選ぶ
07:09この族長たちはヨセフをねたんで、エジプトへ売ってしまいました。しかし、神はヨセフを離れず、 07:10あらゆる苦難から助け出して、エジプト王ファラオのもとで恵みと知恵をお授けになりました。そしてファラオは、彼をエジプトと王の家全体とをつかさどる大臣に任命したのです。 07:11ところが、エジプトとカナンの全土に飢饉が起こり、大きな苦難が襲い、わたしたちの先祖は食糧を手に入れることができなくなりました。 07:12ヤコブはエジプトに穀物があると聞いて、まずわたしたちの先祖をそこへ行かせました。 07:13二度目のとき、ヨセフは兄弟たちに自分の身の上を明かし、ファラオもヨセフの一族のことを知りました。 07:14そこで、ヨセフは人を遣わして、父ヤコブと七十五人の親族一同を呼び寄せました。 07:15ヤコブはエジプトに下って行き、やがて彼もわたしたちの先祖も死んで、 07:16シケムに移され、かつてアブラハムがシケムでハモルの子らから、幾らかの金で買っておいた墓に葬られました。
 このヤコブは後にイスラエルと名前を改めます。これがイスラエルの名の起源。またヤコブの12人の子供が族長となってイスラエル国家を形成していきます。父ヤコブは4番目の子ユダを祝福し、ユダ族はエルサレムを中心に12部族の中でも最も大きな部族と呼ばれるようになり、イスラエル人(ユダヤ教の宗教的要素を含む)とも呼ばれるようになった。
 イスラエルの先祖である族長たちは神が選んだヨセフをねたみ殺そうとしたが、エジプトへ奴隷として売った。
 (あなた方も先祖同様に、神が立ってたナザレのイエスをねたみ殺した。)

 C7:17〜28 神はモーセを立てて、出エジプトを
07:17神がアブラハムになさった約束の実現する時が近づくにつれ、民は増え、エジプト中に広がりました。 07:18それは、ヨセフのことを知らない別の王が、エジプトの支配者となるまでのことでした。 07:19この王は、わたしたちの同胞を欺き、先祖を虐待して乳飲み子を捨てさせ、生かしておかないようにしました。 07:20このときに、モーセが生まれたのです。神の目に適った美しい子で、三か月の間、父の家で育てられ、 07:21その後、捨てられたのをファラオの王女が拾い上げ、自分の子として育てたのです。 07:22そして、モーセはエジプト人のあらゆる教育を受け、すばらしい話や行いをする者になりました。 07:23四十歳になったとき、モーセは兄弟であるイスラエルの子らを助けようと思い立ちました。 07:24それで、彼らの一人が虐待されているのを見て助け、相手のエジプト人を打ち殺し、ひどい目に遭っていた人のあだを討ったのです。 07:25モーセは、自分の手を通して神が兄弟たちを救おうとしておられることを、彼らが理解してくれると思いました。しかし、理解してくれませんでした。 07:26次の日、モーセはイスラエル人が互いに争っているところに来合わせたので、仲直りをさせようとして言いました。『君たち、兄弟どうしではないか。なぜ、傷つけ合うのだ。』 07:27すると、仲間を痛めつけていた男は、モーセを突き飛ばして言いました。『だれが、お前を我々の指導者や裁判官にしたのか。 07:28きのうエジプト人を殺したように、わたしを殺そうとするのか。』

 D7:29〜41 シナイの荒れ野にて燃える柴の
07:29モーセはこの言葉を聞いて、逃げ出し、そして、ミディアン地方に身を寄せている間に、二人の男の子をもうけました。 07:30四十年たったとき、シナイ山に近い荒れ野において、柴の燃える炎の中で、天使がモーセの前に現れました。 07:31モーセは、この光景を見て驚きました。もっとよく見ようとして近づくと、主の声が聞こえました。 07:32『わたしは、あなたの先祖の神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である』と。モーセは恐れおののいて、それ以上見ようとはしませんでした。 07:33そのとき、主はこう仰せになりました。『履物を脱げ。あなたの立っている所は聖なる土地である。 07:34わたしは、エジプトにいるわたしの民の不幸を確かに見届け、また、その嘆きを聞いたので、彼らを救うために降って来た。さあ、今あなたをエジプトに遣わそう。』 07:35人々が、『だれが、お前を指導者や裁判官にしたのか』と言って拒んだこのモーセを、神は柴の中に現れた天使の手を通して、指導者また解放者としてお遣わしになったのです。 07:36この人がエジプトの地でも紅海でも、また四十年の間、荒れ野でも、不思議な業としるしを行って人々を導き出しました。 07:37このモーセがまた、イスラエルの子らにこう言いました。『神は、あなたがたの兄弟の中から、わたしのような預言者(メシア)をあなたがたのために立てられる。』 07:38この人が荒れ野の集会において、シナイ山で彼に語りかけた天使とわたしたちの先祖との間に立って、命の言葉を受け、わたしたちに伝えてくれたのです。 07:39けれども、先祖たちはこの人に従おうとせず、彼を退け、エジプトをなつかしく思い、 07:40アロンに言いました。『わたしたちの先に立って導いてくれる神々を造ってください。
 神が現れ語りかけるところはどこであれ聖なる地である。メソポタミアであろうが、エジプトであろうが、ミデアンの地であろうが、エルサレムの神殿に限られたものではない。
 先祖はこの神が立てたモーセにも逆らい、神にも、律法にも従わず、偶像を造って、そこに生け贄を捧げ、退廃的な生活をした。
 ステファノは議会の人々に、先祖と同じ間違いを犯していることを訴え、その罪を指摘した。
 モーセは民にこういった。「神はやがて自分のような預言者をあなた方のために立てられる。」これはメシアのことを言ったのである。ステファノは、この方こそまさにナザレのイエスであると、言わんとした。

 E7:44〜54 神は人の手で造ったようなものには住まわれない
07:44わたしたちの先祖には、荒れ野に証しの幕屋がありました。これは、見たままの形に造るようにとモーセに言われた方のお命じになったとおりのものでした。 07:45この幕屋は、それを受け継いだ先祖たちが、ヨシュアに導かれ、目の前から神が追い払ってくださった異邦人の土地を占領するとき、運び込んだもので、ダビデの時代までそこにありました。 07:46ダビデは神の御心に適い、ヤコブの家のために神の住まいが欲しいと願っていましたが、 07:47神のために家を建てたのはソロモンでした。 07:48けれども、いと高き方は人の手で造ったようなものにはお住みになりません。これは、預言者も言っているとおりです。 07:49『主は言われる。「天はわたしの王座、
地はわたしの足台。お前たちは、わたしに
どんな家を建ててくれると言うのか。わたしの憩う場所はどこにあるのか。 07:50これらはすべて、わたしの手が造ったものではないか。」』


07:51かたくなで、心と耳に割礼を受けていない人たち、あなたがたは、いつも聖霊に逆らっています。あなたがたの先祖が逆らったように、あなたがたもそうしているのです。 07:52いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、一人でもいたでしょうか。彼らは、正しい方が来られることを預言した人々を殺しました。そして今や、あなたがたがその方を裏切る者、殺す者となった。 07:53天使たちを通して律法を受けた者なのに、それを守りませんでした。」 07:54人々はこれを聞いて激しく怒り、ステファノに向かって歯ぎしりした。
 初めは穏やかに、冷静に語っていたが、次第に熱を帯び、最後はきっぱりと大祭司や議会の人々の罪を糾弾した。

 ※私たちはここから何を学べばよいのだろうか。
 私たちもステファノのように恐れず、命をかけて大胆に証しせよ、神が語るべき言葉と勇気を与えて下さる、ということでしょうか。
 また、人間の罪の現実だろうか。罪を指摘されるとますます、かたくなになって、逆に攻撃的になる。かたくなになるな!聖霊に逆らうな!
 自分の欠点や罪を指摘されると素直に罪を認め、悔い改めるようにうながす。
 「罪が門口に待ち受けている。あなたはそれを治めなければならない。」カインに対する神の言葉である。
 イエス様は弱い私たちが、その罪を治めることが出来るようにするためにこの世に来られ、十字架にかかられたのである。その主を仰ぎ、主の恵みの中に身を置きましょう。






























07:44わたしたちの先祖には、荒れ野に証しの幕屋がありました。これは、見たままの形に造るようにとモーセに言われた方のお命じになったとおりのものでした。
07:45この幕屋は、それを受け継いだ先祖たちが、ヨシュアに導かれ、目の前から神が追い払ってくださった異邦人の土地を占領するとき、運び込んだもので、ダビデの時代までそこにありました。
07:46ダビデは神の御心に適い、ヤコブの家のために神の住まいが欲しいと願っていましたが、
07:47神のために家を建てたのはソロモンでした。
07:48けれども、いと高き方は人の手で造ったようなものにはお住みになりません。これは、預言者も言っているとおりです。
07:49『主は言われる。「天はわたしの王座、地はわたしの足台。お前たちは、わたしにどんな家を建ててくれると言うのか。わたしの憩う場所はどこにあるのか。
07:50これらはすべて、わたしの手が造ったものではないか。」』
07:51かたくなで、心と耳に割礼を受けていない人たち、あなたがたは、いつも聖霊に逆らっています。あなたがたの先祖が逆らったように、あなたがたもそうしているのです。
07:52いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、一人でもいたでしょうか。彼らは、正しい方が来られることを預言した人々を殺しました。そして今や、あなたがたがその方を裏切る者、殺す者となった。
07:53天使たちを通して律法を受けた者なのに、それを守りませんでした。」
07:54人々はこれを聞いて激しく怒り、ステファノに向かって歯ぎしりした。