「天地の主」 使徒言行録 17章16〜34節

 アテネ(アテナイ)
 パウロはイエス・キリストの福音を伝える為にヒィリピ、テサロニケ、ペレァ、そしてアテネまで来た。アテネはギリシャ文化の中心地であって、哲学、文学、芸術が栄えた町で、当時のローマ時代でも第一の文化都市であった。町の中心部にパルテノン神殿がそびえ、アクロポリスと呼ばれていた小高い丘の上にはアテナイの守護神であるギリシャ神話の女神アンテーナーが祀られていた。

 ギリシャの神々
 ギリシャ神話の12柱の神々。主神ゼウスをはじめとする男女6柱ずつの神々である。ゼウス(神々の王)、アテーナー(アテネの守護神)、ヘルメス(雄弁の神、伝令神、旅人たちの守護神)、アフロディテ(ヴィーナス・愛と美の神)・・・。

 偶像崇拝
 17:16パウロはアテネで二人(シラスとテモテ)を待っている間に、この町の至るところに偶像があるのを見て憤慨した。
 文化の中心地でありながら、文化は人の心に安心を与えない。その不安が彼らを偶像崇拝に走らせたのであろう。
 パウロは生ける真の神イエス・キリストと出会い、この方によって罪ゆるされ、新しい命に生かされた。人間の手で造られた死せる偶像を拝むことによっては何の力も得られないばかりか、それによってますます、罪の虜にされることを憤った。彼は義憤に燃えたのではないか。

ローマ1:22〜25
01:22自分では知恵があると吹聴しながら愚かになり、 01:23滅びることのない神の栄光を、滅び去る人間や鳥や獣や這うものなどに似せた像と取り替えたのです。 01:24そこで神は、彼らが心の欲望によって不潔なことをするにまかせられ、そのため、彼らは互いにその体を辱めました。 01:25神の真理を偽りに替え、造り主の代わりに造られた物を拝んでこれに仕えたのです。造り主こそ、永遠にほめたたえられるべき方です。
 パウロは自分を救ってくれた恵みの神、キリストを益々伝えようとした。

17:17〜21
17:17それで、会堂ではユダヤ人や神をあがめる人々と論じ、また、広場では居合わせた人々と毎日論じ合っていた。
17:18また、エピクロス派やストア派の幾人かの哲学者もパウロと討論したが、その中には、「このおしゃべりは、何を言いたいのだろうか」と言う者もいれば、「彼は外国の神々の宣伝をする者らしい」と言う者もいた。パウロが、イエスと復活について福音を告げ知らせていたからである。
17:19そこで、彼らはパウロをアレオパゴスに連れて行き、こう言った。「あなたが説いているこの新しい教えがどんなものか、知らせてもらえないか。
17:20奇妙なことをわたしたちに聞かせているが、それがどんな意味なのか知りたいのだ。」
17:21すべてのアテネ人やそこに在留する外国人は、何か新しいことを話したり聞いたりすることだけで、時を過ごしていたのである。

 パウロは何とかしてイエスと復活について福音を告げ世知らせようと知力を尽くして論じ合った。
  [エクピロス派]
 人生の目的を快楽の追求、自己の幸福におき、無神論的であり、従って往々にして享楽主義、唯物主義に傾きやすい人々であった。後世、エピキュリアン=快楽主義者
 [ストア派]
 宇宙は本来無駄な動きはぜず、自然の法則は合理的なものなのである。この自然の摂理(=神)をゼノンは神と言い換える。神は宇宙に内在して、すべてを不変の法則に従って生起させる永遠の必然性(=神)である。それは宇宙の秩序を保ち、善を勧め悪を戒める全き知恵(=神)である。人間もまた世界の一部分として、世界と調和し、自然にしたがって生きるように定められている。これは一種の汎神論的神観を有している。

 パウロの説教(純粋に異邦人に語った初めての説教)17:22〜31
1.17.24節世界とその中の万物とを造られた神が、その方です。この神は天地の主ですから、手で造った神殿などにはお住みになりません。
 天地の主。つまり神は万物の創造者であり、支配者である。この神はあっちにも、こっちにもいる神ではない。ただ一人、唯一のかたです。
2. 神が定めた 17:26神は、一人の人からすべての民族を造り出して、地上の至るところに住まわせ、
3.. 季節を決め、。

 地球の地軸が23.5度に傾いているために季節が出来た。
4.彼らの居住地の境界をお決めになりました。
 創造主である神は民族を造り、それぞれの人種、民族に住む所も定めた。
 白色人種 コーカソイド(Caucasosid)
 ヨーロッパ人種とも言われ主に北欧の寒い地域に住んでいた人達のことを言います。特徴としては目の色や皮膚の色が薄く、髪の色素も軟毛の人が多い。これは寒い地域では紫外線の照射量が少ないため、メラニン色素(肌細胞が紫外線の刺激を受けないようにする黒色の色素)を生成する必要がないので肌や髪、目の色素が薄くなったと考えられています。そしてメラニン色素が少なくなったことにより紫外線を効率よく吸収すして少ない紫外線からビタミンDを精製しやすくなっています。
 黒色人種 ニグロイド(Negroid)
 黒色人種とも言われ赤道直下の熱帯などの暑い地域に住んでいた人達のことを言います。特徴としては目の色や皮膚の色が濃く、髪の色素も濃く硬毛でクセが非常に強い。それは赤道直下で太陽の日差しが強く暑いため直射日光から皮膚を守るために肌や髪、目の色素が濃く(肌を紫外線から守るメラニン色素が多く)なったと考えられています。
 黄色人種 モンゴロイド(Mongoloid)

17:27これは、人に神を求めさせるためであり、また、彼らが探し求めさえすれば、神を見いだすことができるようにということなのです。実際、神はわたしたち一人一人から遠く離れてはおられません。
 この宇宙も大自然も、その中の全ての生き物も人間も、様々な民族も、肌の色も、季節も、住む所も全ては神が定められた。
なぜなら、それによって私たちが全ての中に神を見いだすようにされたからだ。

  ローマの信徒への手紙
01:20世界が造られたときから、目に見えない神の性質、つまり神の永遠の力と神性は被造物に現れており、これを通して神を知ることができます。従って、彼らには弁解の余地がありません。 01:21なぜなら、神を知りながら、神としてあがめることも感謝することもせず、かえって、むなしい思いにふけり、心が鈍く暗くなったからです。

17:31それは、先にお選びになった一人の方によって、この世を正しく裁く日をお決めになったからです。神はこの方を死者の中から復活させて、すべての人にそのことの確証をお与えになったのです。」

 今は、イエス・キリストによって、私たちの間違いを、罪を指摘し、明らかにされた。イエス・キリストの姿、その光に照らされて初めて、私たちは自分の罪の姿、汚れが分かるようにされた。それだけでなく神はこのイエス様を十字架につけ、死者の中から復活させることによって、私たちの罪が裁かれ、きよめられ、本来あるべき道に立ち帰ることが出来るようにされたのです。


17:16パウロはアテネで二人を待っている間に、この町の至るところに偶像があるのを見て憤慨した。
17:17それで、会堂ではユダヤ人や神をあがめる人々と論じ、また、広場では居合わせた人々と毎日論じ合っていた。
17:18また、エピクロス派やストア派の幾人かの哲学者もパウロと討論したが、その中には、「このおしゃべりは、何を言いたいのだろうか」と言う者もいれば、「彼は外国の神々の宣伝をする者らしい」と言う者もいた。パウロが、イエスと復活について福音を告げ知らせていたからである。
17:19そこで、彼らはパウロをアレオパゴスに連れて行き、こう言った。「あなたが説いているこの新しい教えがどんなものか、知らせてもらえないか。
17:20奇妙なことをわたしたちに聞かせているが、それがどんな意味なのか知りたいのだ。」
17:21すべてのアテネ人やそこに在留する外国人は、何か新しいことを話したり聞いたりすることだけで、時を過ごしていたのである。
17:22パウロは、アレオパゴスの真ん中に立って言った。「アテネの皆さん、あらゆる点においてあなたがたが信仰のあつい方であることを、わたしは認めます。
17:23道を歩きながら、あなたがたが拝むいろいろなものを見ていると、『知られざる神に』と刻まれている祭壇さえ見つけたからです。それで、あなたがたが知らずに拝んでいるもの、それをわたしはお知らせしましょう。
17:24世界とその中の万物とを造られた神が、その方です。この神は天地の主ですから、手で造った神殿などにはお住みになりません。
17:25また、何か足りないことでもあるかのように、人の手によって仕えてもらう必要もありません。すべての人に命と息と、その他すべてのものを与えてくださるのは、この神だからです。
17:26神は、一人の人からすべての民族を造り出して、地上の至るところに住まわせ、季節を決め、彼らの居住地の境界をお決めになりました。
17:27これは、人に神を求めさせるためであり、また、彼らが探し求めさえすれば、神を見いだすことができるようにということなのです。実際、神はわたしたち一人一人から遠く離れてはおられません。
17:28皆さんのうちのある詩人たちも、『我らは神の中に生き、動き、存在する』『我らもその子孫である』と、
言っているとおりです。
17:29わたしたちは神の子孫なのですから、神である方を、人間の技や考えで造った金、銀、石などの像と同じものと考えてはなりません。
17:30さて、神はこのような無知な時代を、大目に見てくださいましたが、今はどこにいる人でも皆悔い改めるようにと、命じておられます。
17:31それは、先にお選びになった一人の方によって、この世を正しく裁く日をお決めになったからです。神はこの方を死者の中から復活させて、すべての人にそのことの確証をお与えになったのです。」
17:32死者の復活ということを聞くと、ある者はあざ笑い、ある者は、「それについては、いずれまた聞かせてもらうことにしよう」と言った。
17:33それで、パウロはその場を立ち去った。
17:34しかし、彼について行って信仰に入った者も、何人かいた。その中にはアレオパゴスの議員ディオニシオ、またダマリスという婦人やその他の人々もいた。