「救われるためには」使徒言行録16章16〜40節

 教会の教会たるゆえんは何でしょうか。教会の命は神の御言葉です。神の言葉が、福音が語られ、それを信じて生きている人が真剣に礼拝を献げている姿こそ教会の姿であろうと思うのです。

 さて、今日の聖書の御言葉はフィリピ教会がどのようにして出来ていったか、その成り立ちを記しています。
 パウロ達が安息日に祈りの場に行くたびに、占いを行う少女が後を着いてきて、大きな声で繰り返し叫びパウロ達を妨害するのであった。少女は占いの霊に取り憑かれていた。「占いの霊につかれた」とは直訳すれば「ピュトンの霊にとりつかれた」「ピュトン」というのは「蛇」のことで、この少女はピュトンの神アポロの霊感を受けたとされていた。
 パウロがその霊を彼女から追い出したことで、彼女を食い物にし、お金儲けをしていた男達がパウロ達に腹を立てて、群衆を巻き込んで、このユダヤ人たちはとんでもない教えを言いふらして、人々を惑わしていると役人に訴えたのである。市の高官たちは暴動が起きるのを恐れて、パウロとシラスをよく調べもしないで逮捕し、鞭打ち、投獄したのである。
 何とも理不尽な裁きであった。良く取り調べもしないで鞭打ちという、ひどい刑罰を与え、足にはギリギチ食い込む苦しい屈辱的な足かせをはめられ、最も罪の重い囚人として、一番奥の牢獄に入れられたのである。
 どころが、パウロとシラスは真夜中頃、真っ暗な中、讃美の歌を歌って祈っていた。
エフェソ むしろ、聖霊に満たされ、05:19詩編と賛歌と霊的な歌によって語り合い、主に向かって心からほめ歌いなさい。 05:20そして、いつも、あらゆることについて、わたしたちの主イエス・キリストの名により、父である神に感謝しなさい。

 最後の晩餐を終え、一同(イエス様と弟子たち)は「讃美の歌(詩編113〜118編)」を歌ってからオリーブ山のゲッセマネの園に出かけた。(マタイ26:30)

 他の囚人たちがパウロとシラスが歌う讃美と祈りを聞き入っていた。その時、突然大地震が起きて牢屋の扉が開き、全ての囚人の鎖も外れた。看守はこれを見て囚人が逃げ出したものと思い自殺を図ろうとした。パウロは大声でこれを泊めた。自害してはいけない。自分たちは逃げていない。ここにいる、と。
 看守はパウロの前に震えながらひれ伏し、
 「先生方、救われるためにはどうすべきでしょううか。」
 看守は自分の命乞いをしたのでしょうか。自分の命が助かるためにはどうしたらいいいか、と、尋ねたのでしょうか。するとパウロとシラス、二人は言った。
16:31「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます。」
 パウロとシラスは看守の救いよりはもっと本質的な、根本的な救いを伝えた。看守は何のことかと戸惑ったのではないか。主イエスなど聞いたことがなかったか。それでも、この二人が言うことは真実だと分かった。謙遜に耳を傾けた。二人は看守をとその家の者全員に主の言葉を語った。真夜中であったが、看守は鞭で打たれた二人の傷口を洗ってやり、自分も家族のものも皆バプテスマを受け、罪を洗われた。彼はその後で二人を自分の家に招いて、食事を出し、神を信じる者となったことを家族共々喜んだ。彼らはしっかりと主に繋がったのである。
 この後、看守の家族とリディアの家族が中心となって、フィリピの教会は出来、困っている人や伝道者を物心両面で支え、助けたのである。喜びに満ちた教会となっていくのです。
  
 「救われるためにはどうすべきでしょううか。」「主イエスを信じなさい。」
救われるためには、何もすべき事はない。イエス様が全てをして下さった。ただ、イエス様がなして下さった救いの御業を信じるだけで救われるのです。

16:32そして、看守とその家の人たち全部に主の言葉を語った。
 主の言葉、つまり「福音「を語ったのです。では福音とは何か。」
 コリントの信徒への手紙一15章1〜5
 兄弟たち、わたしがあなたがたに告げ知らせた福音を、ここでもう一度知らせます。これは、あなたがたが受け入れ、生活のよりどころとしている福音にほかなりません。どんな言葉でわたしが福音を継げ知らせたか、しっかり覚えていれば、あなたがたはこの福音によって救われます。さもないと、あなたがたが信じたこと自体が、無駄になってしまうでしょう。最も大切なこととしてわたしがあなたがたに伝えたのは、わたしも受けたものです。すなわち、キリストが聖書に書いてあるとおり、わたしたちの罪のために死んだこと、葬られたこと、また、聖書に書いてあるとおり三日目に復活したこと、ケファに現れ、その後十二人に現れたことです。

ローマの信徒への手紙
01:15それで、ローマにいるあなたがたにも、ぜひ福音を告げ知らせたいのです。 01:16わたしは福音を恥としない。福音は、ユダヤ人をはじめ、ギリシア人にも、信じる者すべてに救いをもたらす神の力だからです。 01:17福音には、神の義が啓示されていますが、それは、初めから終わりまで信仰を通して実現されるのです。「正しい者は信仰によって生きる」と書いてあるとおりです。

03:22すなわち、イエス・キリストを信じることにより、信じる者すべてに与えられる神の義です。そこには何の差別もありません。 03:23人は皆、罪を犯して神の栄光を受けられなくなっていますが、 03:24ただキリスト・イエスによる贖いの業を通して、神の恵みにより無償で義とされるのです。 03:25神はこのキリストを立て、その血によって信じる者のために罪を償う供え物となさいました。それは、今まで人が犯した罪を見逃して、神の義をお示しになるためです。 03:26このように神は忍耐してこられたが、今この時に義を示されたのは、御自分が正しい方であることを明らかにし、イエスを信じる者を義となさるためです。

 イエス・キリストがなして下さった罪の赦しを「福音」と言います。
 救いとはこの「福音」を信じる事です。つまり、イエス・キリストの十字架による罪の贖い、赦しを信じる事です。義とされるのです。
 そのことによって、神から離れていた者が神の国、神の支配の中に入り、神の子としてキリストに結ばれ、その命にあずるのです。ブドウの木とつながれた枝の関係に入ることです。それによって、神の愛と恵みを受け、愛する子どもとして養い育てられるのです。
 そのためになすべきことは主イエスを信じる事、良い時も、悪い時も何処までも信じ続ける事である。讃美し感謝することです。パウロとシラスは真夜中、牢獄の一番奥で足かせをされながら、不自由な身で、目を天に向けて、神を讃美し祈ったのです。そこに神の栄光が現されたのです。


使徒言行録
16:16わたしたちは、祈りの場所に行く途中、占いの霊に取りつかれている女奴隷に出会った。この女は、占いをして主人たちに多くの利益を得させていた。
16:17彼女は、パウロやわたしたちの後ろについて来てこう叫ぶのであった。「この人たちは、いと高き神の僕で、皆さんに救いの道を宣べ伝えているのです。」
16:18彼女がこんなことを幾日も繰り返すので、パウロはたまりかねて振り向き、その霊に言った。「イエス・キリストの名によって命じる。この女から出て行け。」すると即座に、霊が彼女から出て行った。
16:19ところが、この女の主人たちは、金もうけの望みがなくなってしまったことを知り、パウロとシラスを捕らえ、役人に引き渡すために広場へ引き立てて行った。
16:20そして、二人を高官たちに引き渡してこう言った。「この者たちはユダヤ人で、わたしたちの町を混乱させております。 16:21ローマ帝国の市民であるわたしたちが受け入れることも、実行することも許されない風習を宣伝しております。」
16:22群衆も一緒になって二人を責め立てたので、高官たちは二人の衣服をはぎ取り、「鞭で打て」と命じた。
16:23そして、何度も鞭で打ってから二人を牢に投げ込み、看守に厳重に見張るように命じた。
16:24この命令を受けた看守は、二人をいちばん奥の牢に入れて、足には木の足枷をはめておいた。
16:25真夜中ごろ、パウロとシラスが賛美の歌をうたって神に祈っていると、ほかの囚人たちはこれに聞き入っていた。
16:26突然、大地震が起こり、牢の土台が揺れ動いた。たちまち牢の戸がみな開き、すべての囚人の鎖も外れてしまった。 16:27目を覚ました看守は、牢の戸が開いているのを見て、囚人たちが逃げてしまったと思い込み、剣を抜いて自殺しようとした。
16:28パウロは大声で叫んだ。「自害してはいけない。わたしたちは皆ここにいる。」
16:29看守は、明かりを持って来させて牢の中に飛び込み、パウロとシラスの前に震えながらひれ伏し、
16:30二人を外へ連れ出して言った。「先生方、救われるためにはどうすべきでしょうか。」
16:31二人は言った。「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます。」
16:32そして、看守とその家の人たち全部に主の言葉を語った。
16:33まだ真夜中であったが、看守は二人を連れて行って打ち傷を洗ってやり、自分も家族の者も皆すぐに洗礼を受けた。 16:34この後、二人を自分の家に案内して食事を出し、神を信じる者になったことを家族ともども喜んだ。
16:35朝になると、高官たちは下役たちを差し向けて、「あの者どもを釈放せよ」と言わせた。
16:36それで、看守はパウロにこの言葉を伝えた。「高官たちが、あなたがたを釈放するようにと、言ってよこしました。さあ、牢から出て、安心して行きなさい。」
16:37ところが、パウロは下役たちに言った。「高官たちは、ローマ帝国の市民権を持つわたしたちを、裁判にもかけずに公衆の面前で鞭打ってから投獄したのに、今ひそかに釈放しようとするのか。いや、それはいけない。高官たちが自分でここへ来て、わたしたちを連れ出すべきだ。」
16:38下役たちは、この言葉を高官たちに報告した。高官たちは、二人がローマ帝国の市民権を持つ者であると聞いて恐れ、 16:39出向いて来てわびを言い、二人を牢から連れ出し、町から出て行くように頼んだ。
16:40牢を出た二人は、リディアの家に行って兄弟たちに会い、彼らを励ましてから出発した。